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「はーい」オバサンの声が聞こえ、扉を開け中へと足を踏み入れる。 そして入った瞬間、体に衝撃が走った。 「ぐは……っ!!」 「うっはー! 大変身したね! これなら大丈夫。問題無しっ」 ぺたぺたと悠斗の顔や体を触りまくる社長。 後ろでナオが「メ、メイクが……!!」とか慌てているが全く意に介した様子はない。 「あの、離れ……苦し……」 息も絶え絶えそう訴える悠斗。 その顔は土気色になっている。 「あらま。ごめんごめん! 私、こういう者です」 大して慌てた様子もなく、何故か名残惜しそうに悠斗からオバサンはゆっくり離れて名刺を差し出した。 それにはこう記されている。 RIZEプロダクション 代表取締役 要夏 (“かなめ なつ”か。両方共一文字で書くのか……) しげしげとそう思いながら悠斗はこの要という社長に目をやる。 短いボーイッシュな髪型に、黒のパリッとしているスーツ。 流石女社長と言うべきか、変に装飾をしておらず、格好良い。
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