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そして社長に勧められて部屋の中央辺りにあるソファーに座った。 社長室なだけに壁には歴代社長の肖像画や風景画が飾られあり、そして今、悠斗が座っている接待用の黒革のソファーくらいしか無かった。 書類やパソコンといった事務用品は、社長室の1番奥にある、社長専用のプライベートルームにあるのだろう。 そして社長は悠斗の前にある他より少し大きめのソファーに腰掛けた。 そして、ナオに「下がっていいわよ」と声をかけ、ナオが部屋を出ていくのを見届けると、ようやく悠斗に目を向けた。 「いきなり連れてきてしまってごめんなさいね。私はさっき名刺に書いてた通り要っていうんだけど、あなたの名前は?」 社長に尋ねられて初めて、まだ自己紹介をしていなかった事を悠斗は気付いた。 まあ、今まで質問する暇も無かったのだからしょうがないのだが。 「えーと、俺の名前は森山悠斗です。因みにこの春から高校に入学する予定です」 そう、今は中学を卒業し、高校生になる前の春休みの間だったのだ。 新入生という事もあってか、いつもより長い春休みに飽き飽きとしてきた所だった。
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