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そう言われ、恐る恐る鏡を覗き込む。
映ったのは、もちろん悠斗。
だが……。
「何かが違う……?」
そこに映っているのは、いつもの何か足りない、平凡でそこら辺にいそうな、冴えない“森山悠斗”ではない。
切れ長の綺麗な目。
スッと通っている形のいい鼻。
バランスのいい口。
髪は黒に銀のメッシュでワックスが使ってあるのかツンツン立っている。
そしてどこか飄々としている表情……。
芸能人オーラが出ている“Night”のメンバーである、アイドルだった。
まあ言ってしまえばヘアメイクのお蔭なのだが。
そして今までお洒落にはてんで興味の無かった悠斗にとって、この変わりようには驚いた。
「俺、ですか?」
ファンデーションを薄く付けられた、毛穴の跡すら見当たらない頬に手を伸ばす。
そんな悠斗の仕草を見て、社長と和樹と達也はクスッと笑った。
「そうよ、最初の平凡の少年から大変身よね。お洒落って自分に魔法をかける道具なのよ。……納得もしたみたいだし早速撮影!」
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