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小走りで先を進む社長の後を着いていくと、メイク室と書かれている部屋の前まで来ていた。 その部屋の中へ入ると、化粧品の独特な香りが漂ってきた。 デパートの化粧品売り場みたいな香りだ。 大きめの鏡の前に椅子が置かれてあり、それが、このメイク室の中には6セットもある。 悠斗は物珍しそうに中をキョロキョロと見て、扉から最も近い鏡に近付く。 その鏡の前にはメイクボックスが全開で置かれてあり、中がよく見える。 1番上の段には赤のルージュだけで5種類以上、他にも色とりどりのルージュが同様に沢山ある。 その下の段にはアイライナーやマスカラ、チークにファンデーションと揃っており、これらも種類が豊富だ。 化粧に縁の無い悠斗も感心しながら見ていると、後ろでオバサンの声が聞こえてきた。 「じゃあ後は頼んだ。終わったら私の部屋に連れて来て。よろしくね」 社長はエレベーターに一緒に乗った女性の一人にそれだけ言うと、他の人達を引き連れて部屋から出て行ってしまった。
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