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    ――座ってからは早かった。 悠斗が口を開こうとする度に「動かないで下さい!!」と怒られ、無抵抗の悠斗の髪の毛やら、顔やらをいじくり回された揚句「この服着て」と、何やら黒い服を渡された。 そしてお店で言う、試着室みたいなカーテンで仕切られた所に押し込められた。 頭にハテナマークを浮かべたまま、着替え終えてカーテンを開けて出てきた悠斗。 「あのー……。一応着替えてきましたけど……」 「やっぱり美男子には黒の服が似合うわね」 どうやら全て終わったらしく、ナオは満足気に悠斗の全身を隈なく見て、数回頷きながらそう言った。 「え? 美男子って誰――」 「ほら、行きますよ」 そして悠斗の言葉を遮り、困惑している悠斗の背中を押してこの階の更に奥の部屋へと連れていった。 目の前の頑丈そうな大きな扉には“社長室”と書かれている。 ナオは悠斗の横に控えており、悠斗は恐る恐る3回ノックをする。
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