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「昔、お前に何があったか分からないが……今、お前が気にすることじゃない。俺の情報網、狭いしな」
「はい……」
今まで、昔のことなんて思い出す理由もなかったから知りませんでしたけど、本当に何も思い出せません。
私の中にある一番古い記憶は、小学3年生のときに凪ちゃんに初めて会ったこと。
どんなに頑張ってもそれ以前の記憶が思い出せないんです。
「そんなに焦らなくていい。自然に思い出すこともあるだろう」
「ですけど……自分の出生も分からないなんて……」
「……そういう顔をされると、どうしていいか分からなくなる……」
私のしょげた顔を見て、葉月先輩が困っています。
「フフッ……葉月先輩って軽そうに見えるのに、照れ屋さんですよね」
「……よく言われる……」
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