第一章

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   ◆    武田渓(タケダ・ケイ)、田中玲奈(タナカ・レイナ)、佐伯駿真(サエキ・シュンマ)が通うのは、常盤高校(トキワ)である。  彼らは、二年生の生徒だ。一年の頃に佐伯が、渓、玲奈と同じクラスになり、その時に親しくなったまま、今に至る。  ここ、常盤高校では、部活生が八割を越える部活動の非常に盛んな学校なのである。  しかし、そんな部活動が盛んな学校であっても、渓と玲奈はどの部にも所属していない。  そして、佐伯がもたらした情報にあった、峡谷大学の学園祭は、毎年ゴールデンウイークに行われ、常盤高校の生徒にとっては、一大イベントなのだ。  その学園祭が明日に迫っているということは、明日からゴールデンウイークに突入するということになる。  学生の祝日である、ゴールデンウイークを完全に忘れていた渓って……  ともかく、もともと行く気の無かった渓は、明日、佐伯に拉致されることが確定したらしい。  いや、拉致される事は既定事項だったのかも知れない。なぜなら、玲奈という人間がいるから。  つまり、佐伯が来なくとも玲奈に渓は連れ去られていただろう、ということだ。
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