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まだ明るく、男の意識がハッキリとしていたなら、あるいはこの先の展開を悟り彼女から離れていたのかもしれない。
「ふふふ……」
男の胡乱な瞳に眩い銀が映った。それが大振りのナイフだということに気づくのに、酔った脳は三秒もかかった。
「ふふっ、アハ……アハハハハハ!」
生々しい音と共に鮮血が舞い、夜に帷を下ろす。
此処より先は異常空間。殺人に酔った化け物が獲物を求めてさまよう迷路。
「うわぁぁぁぁ―――!」
「ひぃっ、たすけ―――ぎゃぁああ!!」
「アハハハハ!!」
狂気と狂喜に満ちた化け物は鮮血を浴び、更なる狂気を呼び込む。
――夜は、まだ終わらない。
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