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たぶん、こいし×早苗さん
「好きな人とか、いるの?」
「え?」
答えは別に期待してなかった。
いないと言われれば安心するし、いるって言われたら少し期待する。
彼女は私の質問に、困った顔をして答えてくれた。
「いるにはいるんですよ? でも、ほんとに好きなのか分からなくて。年齢もかなり離れてると思うし」
「へぇ……」
年齢が離れてるってことは相手は妖怪なのかな。
僅かな期待が脳裏をよぎる。
「貴女はどうなの?」
今度は彼女からの問い。
もちろんすぐには答えられない。
素直に言ってみることにした。
「いるけど、私じゃ無理だよ。たぶん」
「どうして?」
「私のことをどう思ってるのか、分からないから」
そう言うと彼女は、人好きする笑顔で真っ直ぐに私をみた。
その綺麗な瞳に私が映る。
なんだか恥ずかしくなって目を逸らした。
「なら、アタックあるのみね」
「……」
やっぱり分からない。彼女が私をどう思ってるのか。
かなりの愛情表現はしているつもり。
もしかしたら、気付いているのかな?
「……うん、頑張ってみる」
「応援してますね」
彼女の気持ちに気付くまで、あともう少し。
終われ
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