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「ふう……。まあいいわ、元々門番としてはあまり期待してないし」
「ひ、ひどい……」
美鈴がショックを受けているが気にしない。いつもの事だもの。
「とりあえず、館内の氷を払っておいてちょうだい。私は先にお嬢様にお茶をお出ししてくるから」
そう言うと、私は“時を止めて”キッチンへ向かった。
もう時を止めることにも慣れた。
昔は、この能力のおかげで随分と人間には気味悪がられたものだ。
普通、“外”の人間は時を止めたり、空を飛んだりしないのだから、それも当然と言えば当然かもしれない。
そのため、ここ――“幻想郷”に来るまでは極力使わないようにしていた。
しかしこの“幻想郷”なら、他にもおかしな能力を持った人間や妖怪、果てには神までいたりする。そんな場所だ、私の能力を見ても普通に接してくれる人が何人もいた。
正直なところ、私はこの場所がとても気に入っていた。
とても、居心地が良かった。
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