第零話 事の始まり ―事件(affair)―

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 ──西暦3021年。  地球は、一つの国に統一されていた。地球共和国(リパブリック オブ アース)。 「セイドー。早くご飯食べなさい」 「ん~」  セイドと呼ばれた少年はTVを見ながら無意識に母親に返事をした。  色素の薄い灰色の髪と綺麗な青緑色の瞳を持つ少年である。彼の目の前には朝食。TVを眺めてすっかり手が止まっている。 TVでは、昨夜起こった奇怪な事件が報じられていた。──数箇所の刑務所より女性囚人だけが忽然と姿を消したのだ。外にも中にも全く痕跡がなく、セキュリティもかなり発展している31世紀の地球で、前代未聞の事件。行方不明者は1000人にも上った。 「こーらっ、セイドッ! 学校遅刻するよっ」 「……あっ、はいはいっ」  ニュースに集中していたセイドは、母親に急かされ我に返る。慌ててご飯を口にかき込んだ。 「ねぇ、お母さん。捕まってた女の人がいなくなっちゃった事件。変な事件だね」  急かされていたにも関わらずセイドは、のんびりと学校に行く準備をしながら母親に言った。 「そうねぇ」 「でもさ、これって悪い人がいなくなったってことでしょ? 良かったね!」  当時、『セイド』こと『セイクレッド=リーンカルス』は8才。当然ながら、この事件の奇妙さを理解しきれておらず、ただ『悪い人がいなくなった』と軽く喜んでいた。  ──その後、この事件は3年に渡り数回繰り返された。犯人は特定出来ず、事件はそのまま迷宮入り。多くの女性が行方不明のままとなった。 第零話 事の始まり ―事件(アフェア)― 終了
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