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「ってわけだ………。
行って来い、康太!」
「いやいやいや、マジで無理だから!」
昼休み。
楊藍高校、二年三組にて二人の男子生徒が話していた。
柔らかな午後の陽射しを取り入れる窓の外は、
これまた青い空と白い雲が混ざり合い穏やかで幻想的空間を生み出しているのに
彼らの会話は穏やかとは言い難い様相だ。
片方の少年は悪人紛いな笑みを浮かべて椅子に踏ん反り返り廊下を指差している。
もう片方はその前で必死に何かを弁明しているようだ。
悪人面の少年の名は進藤勇作。
痩せ型で茶色がかった髪をツンツンと立たせている。
少年マンガの主人公のようだが残念なことに、この話の主人公は彼ではない。
勇作の前にて半泣きで喚く少年こそが主人公、佐久間康太である。
勇作はニヤけながらも頭をかいて康太を宥める。
「ああ、言い方が悪かった。
康太、逝って来い!」
「やっぱり死ぬのは決定事項なのか!?
そんな清々しいまでに親指立てられたって状況変わらねぇんだよ!」
「じゃあ何だ? 親指は下に向けろと?」
GO HELL
勇作は満面の笑みでそう示した。
「勇作の馬鹿あぁぁ!」
どうやら今は康太の生死に関わる事を話しているらしい。
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