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風……
さらさらと、森の木々を揺らしながら風が吹き抜ける
その風の抜けた先…
森の出口に一つの人影があった
風に揺れるフードの付いたローブを纏ったその少し小さな背丈の姿は、まるで旅人か魔法使いのよう
フードのせいで顔は見えないが、どこか楽しそうな雰囲気を醸しだしていた
「……ここ……か」
男性とも、女性とも取れるその声で何かを確認する様に呟いたあと、森を抜けた先へと歩んで行く
その人影が向かった先には、大きな城壁と門があった
かなり長い年月が経っていたのだろう
城壁や門には蔦が絡み付き、所々に苔が生えていた
その門の横には鎧を身に纏った兵士が槍を支えに少し気だるそうに立っていた
だが人影に気づくと兵士は槍を掴み直し、その人影に近づいていった
「止まれっ……ここより先は許可の無い者は入れない……入りたいなら通行証か許可証を出せ」
少し威圧的な声で言われ、人影はローブの中から紙を取り出して兵士に見せた
「……ガルガナム学校の招待状か……てことは君、新入生か」
「………転入です」
兵士の言葉に人影は少し不機嫌になりながらも訂正した
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