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でも、僕は臆病だったので、それがすぐには出来ませんでした。
僕は彼女と言葉を交わす程、彼女への罪悪感が募っていきました。
遂に僕は罪悪感に耐えきれなくなって、彼女に言いました。
『そうそう、俺、帰ってから携帯に入ってるメル友のアドレス全部消したわ。そんなものがあるって時点でおかしいコトだと思うんだけどさ…。知ってるかどうかは分からないけど、俺はそういう人間だったからさ。それでも、やっぱりお前には隠し事したくないから。もし、これで嫌われるならそれでも構わないと思ってる。結局、自分で蒔いた種だから…。』
嘘でした。
嫌われても良いなんて、微塵も思ってませんでした。
自業自得でも、彼女にだけは嫌われたくないと思ってました。
それぐらい彼女のことが大好きでした。
『そうなんだ…。でも、そういう人間だったってコトは今は違うんでしょ?』
『もちろん。』
僕は即答しました。
彼女に嫌われたくない一心で即答しました。
『なら、いいよ。信じるから。それに君の事、好きだし。』
僕はそれを聞いて安心しました。
そして、『好き』という言葉の重みと幸福を覚えました。
『好き』
たった二文字にも関わらず、こんなにも心地よい言葉だとは知りませんでした。
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