スタートライン

2/3
26人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
でも、僕は臆病だったので、それがすぐには出来ませんでした。 僕は彼女と言葉を交わす程、彼女への罪悪感が募っていきました。 遂に僕は罪悪感に耐えきれなくなって、彼女に言いました。 『そうそう、俺、帰ってから携帯に入ってるメル友のアドレス全部消したわ。そんなものがあるって時点でおかしいコトだと思うんだけどさ…。知ってるかどうかは分からないけど、俺はそういう人間だったからさ。それでも、やっぱりお前には隠し事したくないから。もし、これで嫌われるならそれでも構わないと思ってる。結局、自分で蒔いた種だから…。』 嘘でした。 嫌われても良いなんて、微塵も思ってませんでした。 自業自得でも、彼女にだけは嫌われたくないと思ってました。 それぐらい彼女のことが大好きでした。 『そうなんだ…。でも、そういう人間だったってコトは今は違うんでしょ?』 『もちろん。』 僕は即答しました。 彼女に嫌われたくない一心で即答しました。 『なら、いいよ。信じるから。それに君の事、好きだし。』 僕はそれを聞いて安心しました。 そして、『好き』という言葉の重みと幸福を覚えました。 『好き』 たった二文字にも関わらず、こんなにも心地よい言葉だとは知りませんでした。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!