プロローグ

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 世界って、何なのだろう。少女は幼いながらにそう思った。  自分と同じぐらいの子供達がたくさん押し込められた小さな部屋の中で、ただ存在するだけの日々をいたずらに繰り返している。  物心付いたときから、ずっとそんな日々。  少女にとっては、それだけが自分の世界だった。  食べ物は一日一回が普通だと思っていた。だけど、他の子供達はいつもお腹がすいたと喚いていた。そんな中、自分が商品として扱われているという事に気付いたのはいったいいつの事だったか。  他の子供達と会話をする事で、少女は色々なものを学んでいった。  この部屋の外はどんな世界が広がっているのか。子供達がここに来る前の生活がどのようなものだったのか。笑い話や、恋物語も聞いたりして、少女はとても楽しかった。
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