プロローグ

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「タケル、殺された」 「うん、殺されたんだ」 「逃げられないよ」 「怖いよ」  その日みんなは、泣きながら寝ていた。  だから、きっと私も出て行こうとすれば殺される。殺されたら、もう起き上がることができない。  怖い。 「だめだよマヤ。出て行ったら、殺されるよ」  だけど。  それでも、少女はここから逃げだそうと決意した。 「ごめん。でも、見てみたいから」  世界を見てみたいから。  だから扉を開けて、思いっきり走った。  男にはすぐに気付かれた。怒りながら少女を追いかけてくる。  怖い。捕まってはいけない。  でも捕まる。きっと捕まる。
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