プロローグ

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「待――っ!」  エンジンの音、外れるチェーンの音。そして悲鳴。様々な音が入り乱れ、もうどれがどの音なのかまるでわからない。  返り血が暖かい。その温かさが、心地よい。  早く殺せ。死にたくないなら。 「はい、ストップな」  でも、それもそこまで。  少女の手を、何者かが握った。ただそれだけで、少女は武器を握る事を諦めた。  捕まった。つまり、終わった。  殺される。 「おっさん、この子あんたの商品か?」 「あ、あああ。がああああ!」 「駄目だこりゃ」  足下がふらつく。徐々に目が閉じられていく。地面がゆっくりと迫ってくる。 「とり……ず、素……あ……たいだ……さ……電……て…………い!」  黒、闇、無。  死んだ?  殺された?  いや違う。  気絶しただけだ。
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