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美知流の家に着いた本城はチャイムを何度か鳴らしたが美知流は留守の様子で、本城はきびすを返すと車に戻り、近所を中心に美知流を探した。しばらく車を走らせていると美知流が一人で歩いてるのを見つけ、本城はサッと車を美知流の側につけた。
「美知流~。」
自分の名前を呼ばれた美知流は声の主を探すと、車の窓から覗く本城を見つけ駆け寄った。
「…本城さん?」
「美知流、どこか行くのか?」
「あ、ううん、特には。晩御飯の買い物でもしようかなとブラブラしてたとこ。」
「じゃあさ、ちょっと本城さんとドライブしようか?乗んな~。」
美知流は黙って頷くと、本城の車に乗り込んだ。
「ドライブって、代官署まで?」
「どうしてそう思う?」
「わざわざウチのこと探してたみたいやから…早速取り調べでもされるんかと。」
「察しがいいなぁ。明日訊く予定がちょっと早まってさ。取り調べ室はいやか?」
「好きな人はいないんじゃない?あそこは殺風景すぎるわぁ。」
美知流がそう言うと、本城は「それもそうだ」と笑った。
「じゃあ、本城さんちにしようか。」
「本城さんち?」
「あぁ。そこで美知流が知ってること全部話してもらう。取り調べ室よりはマシだろ?」
「ウチがなんか隠してるみたいなこと言いますね?」
「隠してるだろ?」
「さあ…?」
美知流はそう言って目線を窓の外に移した。
「美知流、着いたぞ。」
本城は車を停めると、美知流を部屋へ連れて行き、鍵を開けて美知流を中に入れた。
「さ、どうぞ。」
「お邪魔しま……ほ、本城さ~ん、部屋汚い~。(´△`;)」
部屋の中に入った美知流は、散らかった部屋を目の当たりにし呆れ顔になった。
「ははは、最近忙しくてさ…。(^_^;)美知流を連れてくるってわかってたら片付けといたんだけどな。」
本城は苦笑いした。
「取り調べより先に、この部屋をどうにかした方が良さそうですね。よし!じゃあ本城さん、見られて困るものと洗濯物は自分で片付けてくださいね。ウチはキッチンやりますから。」
「悪いなぁ、美知流にこんなことさせて。」
「慣れてますから。サボっちゃだめですよ~?」
美知流はにっこりと笑顔で言うと、腕まくりをして気合いを入れ、洗い物の溜まったキッチンに入っていった。
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