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美知流が片づけを終えて本城の方へ行くと、本城もほぼ片づいていた。
「本城さん、終わりました?」
「あとこの部屋掃除機かけて、洗濯物干したら終わりだ。」
「じゃあウチ掃除機かけますから、本城さんは洗濯物干してくださいね。」
そう言って掃除機をかけ始めた美知流だったが、ソファを動かすとその下から1通の封筒が顔を出した。
「本城さん、なんか出てきましたよ…?」
「ん~?なんか言ったか?」
ベランダからひょいと顔を覗かせた本城だったが、美知流が手にした封筒を見たとたん慌てて中に入ってきて美知流の手からソレを奪った。
「探してたんだよ~コレ。役所に出しに行かないといけなかったんだ!美知流~、見つけてくれてありがとうなぁ~♪」
「早く出しに行かないと、役所閉まりますよ?」
「だよなだよな~。ひとっ走り行ってきていいかな?」
「どうぞ~。」
美知流の声で本城は封筒を抱えて飛び出していき、美知流は鼻歌を歌いながら掃除を続けた。
本城が役所へ書類を出しに行き小一時間程で戻ってくると、美知流がキッチンでなにやら作っていた。
「いいにおいだなぁ。」
「あ、本城さんおかえりなさい。勝手に冷蔵庫あさらせてもらったよ?」
「いいよいいよ~、じゃんじゃん使って。」
本城はそう言ってリビングに行き、ベランダを見ると途中だった洗濯物もきちんと干されていて、夕方の風に揺れていた。
本城はキッチンで楽しそうに料理をしている美知流を見やると、『美知流は犯人じゃない』と確信した。しかし、何かを隠している。それを訊き出さなければ…。
「さてと。ひと段落つきましたね。部屋もきれいになったし。」
美知流がお茶を入れて本城の所へやってきた。
「なんか夫婦みたいだなァ。」
「ふ、夫婦やなんてっ。や、ややわぁ~本城さんたらっ。」
「美知流、何赤くなってんだよ?」
「べっ!別にっ。何でもないですうっ。はい!お茶どうぞっ。」
美知流は顔を赤くしながら、本城にお茶を差し出した。
「お、おぉ、サンキュ。…さてと。それじゃあそろそろ本題に入るか。美知流、正直に話すんだぞ?」
「何を?」
「凶器の壷から美知流の指紋が出たよ。」
「あぁ…それはウチってドジやから。部屋に入ったときにカバンが当たっちゃって、落としそうになったんを受け止めただけですよ。」
「それだけか?」
「それだけですよ。」
「じゃあ…これは?」
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