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本城は気にすることなく、クッションをソファに戻すとドアの方へと歩いた。そして、ドアノブに手を伸ばしたとき、向こう側で誰かがノックをした。
本城がドアを開けると、高井が立っていた。
「あ、お茶をお持ちしたんですが…。」
「わざわざすいませんねぇ~。じゃ、せっかくなので一口だけ。」
本城は明るく言うと一口すすり、
「それでは失礼します。」
と言って部屋を出ていき、ミノルと美知流は「失礼します。」と会釈だけして本城の後をついて出ていった。
「本城さん。」
車の中で美知流が本城に声をかけた。
「ん?」
「ウチ、全部話したからね?」
「あぁ。話してくれてありがとな。」
「これからどうするんですか?」
「そうだなぁ。彼女の身辺捜査と…美知流が見たっていう青いジャンパーの持ち主捜しとかかな。」
「ウチも…ウチもやらせて!じっと犯人が捕まるのを待ってるなんてイヤやもん。お願い、本城さん!」
美知流の申し出にミノルが先にダメ出しをする。
「ダメですよ!これは遊びじゃないんですよ?もし、美知流さんに何かあったらどうするんですか。絶対にダメです!」
「ミノルの言う通りだ。それに、美知流は学校があるだろ?」
「今夏休みやもん。学校の心配はないよ?宿題だってもうほとんど終わってるし。それに、ウチも一緒におった方が何かと便利ですから!ね?お願い!」
美知流は手をすり合わせて必死に本城に頼み込むと、しばらく黙っていた本城はゆっくりと口を開いた。
「……課長のお許しが出たらな。」
「本城さん!」
本城の言葉にミノルが驚きの声を上げる。
「しょうがねぇだろ、状況から見て青いジャンパーの男が犯人の可能性が高い。その男を美知流が見てるんだ。聞き込みの途中で見つかるかもしれないぜ?」
「でも顔を見た訳じゃないんだし…。」
「そこは美知流の直感力さ。」
本城はそう言ってアクセルを踏み込んだ。
「ただいま帰りました!」
「ご苦労さん、どうだった?」
武田が迎える。
「美知流が青いジャンパーの男を見てるんですが、どうもその男が怪しいです。」
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