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「そうか。」
本城が武田に報告していると、タクがミノルのそばに寄ってきた。
「ミノル、何かいいことあったか?」
「別に。なんで?」
「なんか妙に嬉しそうだからさ?」
「実はミノルさんねぇ…」
「ちょ、ちょっと美知流さんやめて下さいよ。」
ニヤリとしながら何か言おうとした美知流をミノルは慌てて止めると、美知流は「冗談。」と言って笑った。
「美知流、おいで。」
武田に報告が終わった本城は、美知流を呼んで課長室に入った。
「どうした?本城?」
「課長、実はお願いがあるんですが。」
「なんだ?…美知流ちゃんが一緒ということは、何か関係あることか?」
「課長さん!ウチを捜査の一員に入れて下さい!」
「捜査に?ダメだダメだ。美知流ちゃんの気持ちはわからないでもないが、これは遊びじゃないんだぞ?」
「わかってます。だからこそ、協力したいんです。少しでも早く犯人を捕まえたいんです!」
美知流達の話している様子を見て、武田が課長室へ入ってきた。
「課長、どうしたんですか?」
「あぁタケさん。いやな、美知流ちゃんが捜査に加わりたいと言ってな…」
宮本が続きを言おうとしたのを遮るように武田が叱咤した。
「バカモン!これは遊びじゃないんだぞ!何かあったらどうするんだ!」
美知流は武田の声に驚いて身をすくめ、ミノルや順子達は武田の大声にギョッとして課長室を見た。
「まぁまぁタケ先輩、落ち着いて下さいよ。血圧上がっちゃいますよ?」
本城がたしなめる。
「本城、お前もお前だ。無理だってわかってるだろう。」
「そこをなんとかお願いします!ウチ、悔しいんです。犯人かも知れない人物を見たのに追うことも出来なくて、その上通報すら出来なかった…。」
「誰だって殺人があった現場を見たら、冷静な行動が出来なくなってもおかしくはない。気にしなくてもいい。」
「イヤです。それじゃウチの気持ちが治まらへんのです。お願いします!無茶はしませんから!」
美知流はそう言うと頭を下げた。
「絶対ダメだ。」
「……絶対、無茶はしないな?」
断固反対する武田の横で、宮本が静かに訊いた。
「は、はい!」
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