一枚の写真

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「それじゃ、本城と一緒に行ってこい。そのかわり、少しでも無茶をしようもんなら…わかってるな?」 「はいっ!」 「課長!?」 喜ぶ美知流と反対に、武田が驚きの顔をして宮本を見た。 「ありがとうございます。」 本城と美知流は深々と頭を下げると、課長室を出た。 「課長、なぜ?」 納得のいかない武田は宮本に質問をぶつける。 「まぁまぁタケさん。あの子、誰かに似てると思わんか?」 「は?彼女がですか…?」 「名前が一緒なのも何かの縁なのか、性格も本城に似てるだろう?」 「本城に…?そう言われてみれば…。」 刑事部屋で本城達と話している美知流に目をやる。 「あの子は言わば、本城のミニサイズだ。俺が止めたところで無駄だろう。」 「しかしですね、彼女はまだ高校生ですよ?」 「きっとあの子は、一人ででも捜査するって言い出しかねん。それに彼女が目撃した男が犯人として、その男に美知流ちゃんが見たことを気付かれていたとしたら、彼女の身が危険にさらされる恐れもある。それなら本城と一緒にいた方が危険も少ないだろう。本城もきっとそう読んだに違いない。なぁに、心配する事はないさ。」 「ハァ……。」 武田はいまひとつ納得のいかないといった顔をした。  一方、本城達はこれからの捜査の手順を話し合っていた。 「よし、俺とシゲと美知流で、玲子さんの家宅捜索。ミノルとタクは青いジャンパー当たってくれ。南と順子は彼女の交流関係な。」 「はい。」 みんなが声を揃える中、ミノルだけが不服そうな顔だ。 「なんだ?ミノル、何か不都合でも?」 「ジャンパーの件はシゲの方が……。」 「お前が来るとうるさいからダメ。ハイ、行こう!」 本城はそう言うと、シゲと美知流を連れて出て行った。 「残念だったな。」 肩をポンと叩くタク。 「いちいちうるさいよ!ほら、さっさと行くぞ。」 「おーコワ…。」 そんなやりとりをしながら、ミノル達も先に出た順子達の後をついて出ていった。 玲子の住んでいたマンションに着いた本城達は、近くに車を停めるとマンションに入っていった。 「玲子さんの部屋は6階の一番奥です。ウチは管理人さんに鍵借りてくるんで、先に上がってて下さい。」
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