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「わかった。シゲ、行こう。」
「は、はい。」
本城とシゲはエレベーターに乗って一足先に6階へ上がっていった。
美知流は管理人室へ行くと、小窓を軽くノックした。
「こんにちは。」
美知流が声をかけると、中で新聞を読んでいた管理人が顔を上げた。
「おや、君は…確か竹山さんとこの…?」
「あ、はい。あの、玲子さんの部屋の鍵を貸してもらえますか?」
「あぁ、鍵ね。ちょっと待ってよ…。」
管理人はそう言って、玲子の部屋のマスターキーを取りに立った。
「はい、竹山さんの部屋の鍵。しかし、大変だったね。彼女、殺されたんだって?犯人は捕まったのかい?」
「いえ、まだ。これから何か手がかりがないか調べるんです。」
「そうかい。早く捕まるといいねぇ。」
「はい。それじゃあ。」
美知流は軽く頭を下げると、エレベーターに乗って6階のボタンを押した。
エレベーターが動き出したが2階までくると止まり、ドアが開いた。するとフルフェイスのヘルメットをかぶった男が乗り込んできたかと思うと、いきなり美知流の腹部を殴り鍵を奪って逃げようとした。
「待ちぃっ!」
「はっ、離せっ!」
美知流は慌てて男に飛びつき足にしがみついたが蹴り飛ばされ、エレベーターの壁に頭をぶつけて気を失ってしまった。エレベーターはドアが閉まると、気絶した美知流を乗せて6階へと上がっていった。
「美知流の奴、遅いな…。」
部屋の前で待っていた本城は、時計をチラッと見るとつぶやいた。
「管理人さんと話でもしてるんじゃないですか?」
「にしても、ちょっと遅いな。シゲ、見てきな。」
本城に言われたシゲは、小走りでエレベーターへと向かった。そしてエレベーターの前まで来ると、エレベーターが止まっているのがわかった。
「ありゃ、まだ話してるのかな?」
シゲがボタンを押しドアを開くと、そこにうずくまるようにして美知流が倒れていた。
「ちょ、みっ、美知流ちゃん!大丈夫か!?ちょっと待ってなよ?」
気を失っている美知流に聞こえるはずもないが、焦ったシゲはそう言って本城を呼んだ。
「本城さん!ちょっと来てください!早く!」
「シゲ、どうした?」
そう言いながら小走りでシゲの方へ近づいた本城は、エレベーターのドアを押さえて立っているシゲの奥で倒れている美知流を見つけると、すぐさま駆け寄った。
「美知流!おいっどうした!しっかりしろ!美知流!」
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