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「う…本城さん…。」
本城の呼びかけに、美知流は気がついた。
「美知流、どうした?何があった?」
「ごめんなさい。鍵…盗られました…。」
美知流はゆっくり起き上がると、頭をさすりながらエレベーターの外に出た。
「カギを盗られたって?詳しく説明しな?」
「はい、管理人さんから鍵を借りてエレベーターに乗ったんです。そしたら2階で停まったと思ったら男が乗り込んできて、いきなりお腹殴られて…。しがみついたんやけど、蹴り飛ばされて頭打っちゃったみたいです。」
「どんな奴かわかるか?」
「あまりにもとっさすぎて…。フルフェイスのヘルメットかぶってたし。そう言えば…青い…ジャンパー…。」
「青いジャンパー?!本城さん!」
シゲが本城を見る。
「あぁ、玲子さんを殺害した奴と思って間違いなさそうだ。」
「どうしますか?」
「この辺りを聞き込みしよう。不審者を見た人がいるかも知れない。美知流、大丈夫か?」
「はい、平気です。」
「よしよしよしよし。それじゃ行くか。」
そう言って3人はエレベーターに乗り1階に下りた。
「それじゃあ、ウチは管理人さんに話を聞いてきます。」
「よし。じゃあシゲはあっち。俺はこっち行く。10分後に車の前な?」
「はい。」
美知流はしっかりと返事をすると、管理人室へ向かっていった。
「本城さん、いいんですか?一人で行かせて…。」
シゲが心配そうに訊く。
「心配ないさ。さ、散ってくれ。」
そうして本城とシゲも聞き込みに外へ出ていった。
10分後、美知流が管理人から話を聞いて車の所へ戻ってくると、本城達はまだ戻ってなかった。
「本城さん達はまだか。う~ん…あの男の声、どっかで聞いたような気がするんやけどな…思い出されへん…。」
「美知流。」
美知流がブツブツ考えていると本城が戻ってきて、シゲもそれに続くように戻ってきた。
「美知流、どうだった?」
車に乗り込むと本城が訊く。
「ダメでした。管理人さん、ウチに鍵を渡した後トイレにこもってたらしくて。鍵は借りたのがマスターキーで、後は玲子さんが持ってた分しかないそうです。」
「シゲの方は?」
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