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「こっちもダメっすね。誰も外には出てなくて。」
「ダメか…。こっちも全くだ。シゲ、玲子さんの持ってた鍵は?」
「まだ鑑識の所にあるはずです。」
「それじゃ一度署に戻って、鍵を借りて出直すか。」
そう言うと3人は代官署へと戻り、小一時間程してまた玲子のマンションへと戻ってきた。
「ここが済んだら昼飯にしよう。」
玲子の部屋へ向かいながら、本城が言った。
「賛成♪本城さん、おごってくれるんでしょ?」
「しょうがねぇなあ。」
「本城さん、ありがとうございます♪」
「お前は別だよ。」
「そんなぁ~。」
そんなやりとりをしながら、玲子の部屋まできた本城は鍵を開けようとして手を止めた。
「開いてるぞ…?美知流はちょっとここで待ってな。シゲ?」
「はい。」
本城は美知流を玄関前で待たせ、拳銃を構えるとシゲと中に入って行った。
「見事だな、こりゃ…。」
「あちゃー。派手にやられましたね。」
部屋に入った二人は絶句した。いつもならきちんと片付けられたきれいな部屋が、これでもか!と言わんばかりに荒らされていた。
本城は部屋に誰もいないのを確認すると、美知流を中に呼び入れた。
「うわ…なんやこれ…?」
部屋に入った美知流も、その散乱さに動きが止まった。
「ここだけ、嵐がきたみたいだ。」
「ウチが鍵を盗られたせいですよね…?ごめんなさい。」
「気にすることはないさ。人間失敗の一つや二つあるもんだ。だから俺達は今からここで、犯人の失敗を探す。OK?」
「OK。」
美知流はコクンとうなづいた。
「本城さん、指紋は出ますかね?」
「一応鑑識呼ぶけど…無理だろうな。おい、隅々までしっかり探せよ?」
「はい。」
3人はそれぞれに散って、手がかりはないか探し始めた。そして、しばらくすると美知流が数冊のアルバムを見つけた。
「アルバム…。」
「どうした?」
本城が美知流のそばに寄ってきた。
「本城さん、アルバムが。」
「何か写ってるかな?見てみな。」
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