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「はい。」
美知流は1枚1枚丁寧にアルバムを見始めた。
「あ、兄ちゃんだ。幸せそうな顔しちゃって…。」
「コラ、見とれてんじゃないよ~。」
「は~い。…あれ?重なってる…。」
美知流は写真が2枚重なってアルバムに入っているのに気づき、写真を抜いた。
「ん?どうした?」
「この人…。ねぇ本城さん、ここに写ってる人…。」
美知流は人差し指で、玲子の後ろの方で写っている男を指差した。
「これは…高井さんじゃないか?」
「やっぱりそうですよね?しかもコレ、隣に写ってる人がウチが見た青いジャンパーによく似たの着てるんです。でも、玲子さんのも冬服みたいだから、ジャンパー着ててもおかしくないけど。」
「美知流が見た姿とはどうだ?」
「ほんの一瞬しか見てないから確証はないけど…似てるような気がします。」
「こりゃひょっとすると…。」
「ひょっとするかもですね。でも、そうだとしたら動機は?」
「それはこれから調べれば判るさ。」
美知流はほかにも写真がないか探してみたが、見つけたのはその1枚だけだった。その後、手がかりになるような物も見つからず、3人は署に戻ることにした。
「あっ!」
署に戻る途中の車の中で、美知流が叫んだ。
「どした?」
「今日、玲子さんのお通夜があるん忘れてた…。本城さん、ウチの家まで送ってくれる?」
本城は快く引き受け、美知流を家まで送っていった。
署に戻った本城は、ミノルに声をかけた。
「ミノル~、ちょっと。」
「なんですか?あれ?美知流さんは?」
「美知流は玲子さんの通夜に行くって、家に送ってきた。ミノル、どうやら美知流は犯人に襲われる危険がある。お前、一緒について行ってきてやんな~。」
「は、はい。」
ミノルはそう言って出て行き、美知流の家へと寄った。
チャイムを鳴らすと、中から美知流が出てきた。
「あれ?ミノルさん?どうしたんですか?」
「玲子さんの通夜に行くと聞いたので。本城さんに一緒に行ってこいと。」
「ホンマに?良かった♪ひとりやとちょっと心細かったんですよ~。あ、じゃあ、あがってください。まだ用意できてないんで。」
美知流はそう言って、ミノルを部屋へ入れた。
「その辺に座っててください。今コーヒー入れますね。」
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