一枚の写真

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「はい。ミノルさんとコンビ組めなくて残念やなぁ~。ミノルさんは今日ジャンパー探ししたんでしょ?どうやったんですか?」 「えぇ、実は青いジャンパーは制服として希望者に支給されているもので、社員リストを元に洗ってるところです。」 「じゃあその中に犯人が…。」 「可能性は高いと思います。」 「あの…そのリストの中に高井さん…は?」 「ありませんでした。まぁ、男性はスーツを着てますからね。あまり持っている人はいないみたいですよ?気になりますか?」 「あ…いや…。」 美知流は言葉を濁した。 「美知流さん、着きましたよ?」 ミノルは美知流のマンション前に着くと車を停めた。 「それじゃ僕はここで。」 すぐに帰ろうとするミノルを美知流が引き止めた。 「ミノルさん寄ってってくださいよ~。お腹空いたでしょ?なんか作りますよ?」 「いえ、もう遅いですから。」 「あ、い~のかなぁ~?もし、ウチが部屋に着く前に犯人に襲われたりしたら、ちゃんと送らんかったミノルさんの責任になりますよ~?ウチの護衛にって来てくれたんでしょ?」 美知流が悪戯な目で言うと、ミノルは困った笑顔になりながら 「美知流さんにはかないませんよ。でも、少しだけですからね。」 と言って美知流の家に寄ることにした。 部屋に着いた美知流は先に着替えると、キッチンに行き冷蔵庫を開けたが、食材になりそうな物が何もなかった。 「あっそっか~。買いもん行きそびれてたから、なんもないんやったぁ。(ノ△<)ちょっと買いに行ってくるか…。ミノルさん、何にもなかったんで買いもんに行ってきますけど…どうします?待ってます?」 「一緒に行きますよ。こんな夜更けに、女の子ひとりで行かせられませんよ。」 「そう言うと思った~。」 「車出しましょうか?」 「ううん、コンビニまですぐそこやから。歩いていこ♪」 美知流はそう言って、ミノルと歩いて近くにあるコンビニへと向かった。コンビニでは、ミノルがカゴを持ち美知流がその中に次々といろんな物を入れていき、レジへ行くと店長の男が美知流に声をかけた。 「よぉ、美知流ちゃん。今日はお兄さんと一緒かい?」 話しながらもバーコードを読む手は休めない。 「ううん。ちゃうよ。」 「じゃあ…彼氏?」 店長がニヤリとして聞く。 「いえ、そんな…。」 「ま、そんなとこ。」 否定しようとしたミノルを遮るように美知流が言った。
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