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「そうかい。えっと、2422円ね。あ、ちょっと待ってなよ?」
店長はそう言うとどこかへ行き、美知流は代金を出していた。
「美知流さん、なんであんなこと…?」
ミノルが囁く。
「あぁ、あれ?ここの店長ねぇ、人はいいんやけどおしゃべりなんで刑事って言わない方がいいと思って。あ、イヤでした?」
「い、いや、そんなことはありませんけど…。」
「お待たせ、お待たせ。何話してたんだい?」
二人がひそひそ話していると店長が戻ってきた。
「ううん、別に。おっちゃん、これで。」
美知流は3000円を店長に渡し、店長は釣銭を渡すと取ってきたアイスの箱を袋に入れた。
「おっちゃん、これ…?」
「サービス。暑いからね。二人で食べるといいよ。」
「わぁ♪おっちゃんありがとね♪」
美知流はにこっと笑顔を見せて言うと、コンビニを出てミノルと歩き出した。そしてそんな二人の姿を、物陰から見ている男がいた。
「夜になったらちょっと涼しいですね。ミノルさんごめんね、荷物持ちさせて。」
「平気ですよ。」
話しながら歩いていると、美知流は車がくる気配を感じて振り返った。
「あ、車……うわっ!」
道の端に寄ろうとした美知流はその車が自分に向かってスピードをあげて走ってくるのに気付いて逃げようとしたがライトに目がくらんで動作が遅れ、ギリギリの所でなんとか避けることができた。車は美知流の腕をかすめそのまま走り去っていき、ミノルは美知流をおいて車を追うわけにもいかず、美知流の側に駆け寄った。
「いった~…。」
「美知流さん、大丈夫ですか?あっ!血が出てる。とりあえずこれで。」
ミノルはポケットからハンカチを取り出し、血が出ている美知流の腕に巻いた。
「ありがとう。」
「病院へ行きましょう。」
「平気平気、これくらい。ちょっと擦っただけやから。」
美知流はニコッと笑って言うと、心配顔のミノルを連れて家に戻った。
「ミノルさん、この事は本城さん達には内緒にしてくださいね。」
家に戻ると、美知流は買い物の荷物を片付けながら、ミノルに言った。
「そう言うわけにはいきませんよ!あの車、明らかに美知流さんを狙ってたじゃないですか!」
「そうやけど…。余計な心配かけたくないん。別にたいしたケガじゃなかったし。それに…武田さんに知れたら捜査からおろされちゃうもん…。そんなんいやや…。お願い!ミノルさん。」
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