一枚の写真

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「さぁなぁ?」 「本当に心当たりないんですか?」 「しつこいよ。おい!見ろ!グレーのライトバンだ。」 エビス銀行近くまで来ると、銀行の裏手通りに確かにタレコミで言っていたグレーのライトバンが停まっていたが、窓には目隠しのフィルムが貼ってあり、本城達の位置からは中までは見えなかった。 「本城さん、あそこに電話ボックスがあります。あそこからかけてきたんですね。」 「そのようだな。」 本城は電話ボックスのそばに車を寄せると停車させた。 「ハ~イ、行くよっ。」 そう言ってミノルと共に車を飛び出し、拳銃を手に取るとそっとライトバンへと近づいて中の様子をうかがった。 「誰もいませんね…。」 中はもぬけの殻。それを悟ったミノルはまじまじと中を覗き込む。 「ってことは、もう銀行ン中かもしれないぜ?急げ!」 二人が銀行の前に回ると、シャッターの下り始めた入り口から黒ずくめの男たちが入っていくのが見えた。 「行くぞミノル!」 「はい!」 本城達も急いで駆けつけると、もう半ば閉まりかけている入り口から滑り込んだ。 「おい!お前ら!動くんじゃねぇぞ!」 黒ずくめの男の一人がカウンターに拳銃を向けて叫んだ。 が、 「お宅等も動くんじゃないよ~。」 と背後からの本城の声にハッとして振り返り、自分達に拳銃を向けて立っている二人を見ると動きが止まった。 「警察だ!大人しく銃を捨てろ!」 ミノルが警察手帳を高々と見せながら言った。 「あ~ぁお恥ずかしいったらありゃしない!強盗する奴らが狙われるなんてな。」 本城の言葉に犯人のひとりは観念し、近づいたミノルに大人しく拳銃を渡した。もうひとりも、観念しがっくりと肩を落として立っていたが、本城が近づいてきた所に金を詰めさそうと持っていた鞄を叫びながら投げつけ、本城がひるんだ隙に横の通用口から逃げようと走り出した。 「おい!そっち頼んだぞ!」 本城はそう言って、逃げ出した犯人を追って通用口から飛び出していった。 犯人は裏手の駐車場へ逃げ、振り返ると同時に拳銃を構えた。 「来るな!う、撃つぞっ!」 「あぁ、撃ちたきゃ撃ちな。こっちも遠慮しないで撃ってやるからさ。」 本城は笑みを浮かべながら、じりじりと犯人に迫る。犯人はおどおどしながらも、本城に狙いを定める。
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