一枚の写真

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武田が答え、その言葉にミノルは焦りの顔を見せ、そんなミノルをタクは見逃さなかった。 「あれ?ミノル、なんか動揺してない?」 「え?いや、そんなことないさ。俺はいつも通りだよ。」 「あれあれ~?ミノル君、それ昨日と同じネクタイじゃない?」 順子も鋭いところをついてくる。ミノルはしどろもどろになり、美知流は“知~らない♪”と言う顔でそっぽを向いた。 「美知流ちゃんと一緒に来た事と言い…あっ!まさかお前、夕べ美知流ちゃんちに泊まったんじゃないだろうな!」 タクがズバリと言い当てる。 「なに?原田が美知流ちゃんの家に泊まったって?」 武田が驚きの顔でミノルを見る。 「あ、あのっ、送っていったら色々ありまして…いつの間にか…。」 「やっぱり泊まったんだ?」 「あ…。」 「あ~ぁ、墓穴掘っちゃった。」 美知流は呟いて頭をおさえた。 「ミノル~、本城さんに知れたら怒るぜ~?」 「あたし、言っちゃおうかなぁ~?」 順子がニヤニヤしながらミノルを見て言う。 「やっ、やめて下さいよ~。冗談じゃありませんよ。美知流さん、助けて下さいよ~。」 ミノルはすっかり弱気になり、しまいには美知流に助けを求めた。 「助けて…って言われても…。んまぁ…しょうがないんじゃないですか?捜査で疲れてて、ご飯食べてシャワー浴びてサッパリしたら、つい寝ちゃうこともあるだろうし…。」 「えっ!?ミノルのやつ、風呂まで入ったのか?」 「意外とやるのね、ミノル君。」 「こらこら、お前達、いつまでのんきにしゃべってるんだ。さっさと捜査に行かんか!」 盛り上がっていると武田の喝が入り、ミノルは慌てて刑事部屋を出て行った。 ミノルにとっては、逃げ出すのにちょうどいい口実になったようだ。 「ほらほら、お前達もさっさと行かんか。」 「じゃ、美知流ちゃん行こうか。」 「はい。」 美知流は返事をすると、カバンから封筒を取り出して本城の机に置くと早足で刑事部屋を出て行った。  玲子の会社に着いた美知流達は、早速リストを元に洗い出しを始めた。美知流は玲子がいた経理部へ行き、玲子と仲の良かった同僚に話を聞くことにした。 「あの…玲子さんと高井さんて仲良かったみたいなんですけど、付き合ってたんですか?」 「え~?竹山さんと高井さんが?まぁ確かに仲は良かったけど…それはないんじゃない?竹山さんは婚約者いたし、高井さんにも彼女いるもの。」
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