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と、その時、何かが飛んできて本城と犯人の間で跳ね、一瞬犯人がそちらに気を取られた。本城はその一瞬の隙を逃さず駆け出すと、犯人の持っていた拳銃を蹴り落とした。
犯人は抵抗したが本城にかなうはずもなく、あっけなく手錠をかけられ、本城は拳銃を拾うとその辺りの地面をぐるりと見回し、先程二人の間で跳ねたそれを拾いポケットにしまった。
「本城さん!」
犯人を連れ、表に回ると本城の姿を見つけたミノルが駆け寄ってきた。
「終わったよ~。そっちは?」
「はい、応援のパトカーへ引き渡しました。」
「よしよしよしよし♪じゃあ、こいつも頼む。さてと…。」
犯人と拳銃をミノルに託すと、本城はまたどこかに行こうとしている。
「本城さん、どこ行くんですか?」
「ん?タレコミしてきた子に会ってくるのさ。」
「え?タレコミしてきた子に?わかったんですか?」
「いや、だけどそこに来てるはずさ。こいつを探しにな。」
そう言ってポケットからさっき拾った物を取り出した。
「500円玉…??」
ミノルはわけがわからず、そばにいた警察官に犯人と拳銃を引き渡して本城の後を追った。
本城が犯人を捕まえた駐車場まで戻ってくると、そこで一人の男の子らしき人物が、地面をキョロキョロ何かを探していた。
「ほ~ら、いた。」
本城はその子に近づくと声をかけた。
「君が探しているのは、コレじゃないのか?」
さっきの500円玉を取り出す。
声をかけられたその人物はハッと振り返り、本城の持っている500円玉を見ると
「あ…そうです。」
と手を出した。が、本城は500円玉を返さず、またポケットにしまいこんでしまった。
「返す前に、ちょっと訊きたいことがあるんだけどなぁ?」
「ちょっと本城さん、何言ってるんですか。電話してきたのは女ですよ?この子、少年じゃないですか。」
本城の袖を引っ張りその子に背を向けると、ミノルが小声で訴える。
「ミノル、いい医者紹介してやるから一度診てもらいな。」
本城はそう答えてその子の方に向き直った。
「なぁ、君の名前は?」
「本庄 美知流。」
「美知流ちゃんか。俺は本城 慎太郎、こっちは原田 実。署に電話してきたのは…美知流ちゃん。だろ?」
本城は全てお見通しといった表情で、美知流に訊いた。
「…あなたが本城さんやったんですか。うん、タレコミしたんはウチやよ。」
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