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美知流は答えて笑顔を見せた。
「え…この子、女の子…?」
ミノルは信じられないという顔をして美知流を見た。
「あれ?刑事さん、ウチのこと男やと思ったんですか?」
「すいません…。」
ミノルは申し訳なさそうに頭を下げた。
「はは、別にいいですけどね。ところで本城さん、なんでタレコミしたのがウチやと?」
美知流が不思議そうに訊ねた。
「それさ。」
「え?何?どれ?」
本城が指を指したので、美知流は服に何か付いてるのかとキョロキョロ見回した。
「あ…、そういえば美知流さんの話し方…。」
ミノルが思いついたように言った。
「そう、違うだろ?タレコミの時に気になったんだ。それに。」
本城は500円玉を取り出し、さらに続けた。
「これさ。あの時、そう俺が犯人を追ってここに来たときだ。俺と犯人の間にこいつが飛んできて、犯人の意識がはずれた隙に捕まえたわけだけど、こんな物が偶然飛んでくるわけがない。だとすれば、これはここで事件があって俺が犯人を追いつめたことを知ってる人物、つまりはタレコミしてきた人物ってことで美知流ちゃんてわけだ。」
「おぉ~さすが本城さん。お見事です。」
本城の名推理に美知流は拍手し、本城は得意げな笑みを見せた。
「なぁ、美知流ちゃん?」
本城が呼ぶ。
「美知流でいいですよ?」
美知流はニコッと笑った。
「そうか?じゃあ美知流、これから本城さんとデートしようか?」
「デート?」
「本城さん、何言ってるんですか!」
「おまえこそ何言ってんだよ。事件関係者なんだから、調書取らなきゃだめだろ。」
ミノルのツッコミに本城がツッコミ返す。
「それなら、普通に言ってくださいよ~。デートだなんて…。」
ミノルはそう言って呆れ顔になったが、本城は気にとめる様子もなく続けた。
「美知流~、美味しいコーヒーごちそうするよ?」
「行く♪」
美知流は二つ返事でOKし、三人は本城の車に乗って代官署へと走り出した。
「本城と原田、ただいま戻りました。」
本城が人差し指をあげながら刑事部屋に入ってきて、部屋にいた刑事たちが口々に「おかえりなさい。」と迎えた。
「ご苦労さん。タレコミは本当だったそうだな。ん?本城、後ろの子は?」
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