71人が本棚に入れています
本棚に追加
ねぎらいの言葉を発した武田は、本城の後にミノルと入ってくる美知流を見やった。
「タケ先輩、彼女がタレコミしてくれた本庄美知流ちゃんです。」
本城が美知流を紹介すると、美知流はペコリと頭を下げた。
「ホンジョウって…、本城さんとお知り合い?」
順子が聞く。
「ひょっとして、隠し子とか…?」
「タク!」
「すいません。」
タクは冗談まじりに言ったのだが、本城につっこまれ、首をすくめて美知流に笑いかけた。
「タク、美知流さんが隠し子なわけないだろう!」
ミノルが憤慨する。
「冗談だよ。」
「第一、こんなかわいらしい彼女が、本城さんの子供であるはずがない。」
「あ~ぁお恥ずかしいったらありゃしない。美知流を男と間違えたの誰だったっけ?」
プンプンしているミノルに、本城がツッコミを入れた。
「いやっ、本城さんあれはっ!」
慌てるミノル。
「えっ!?ミノル、彼女を男と間違えたのか?そりゃひどいな。」
ここぞとばかりにタクが反撃をする。
「お前は黙ってろよ!」
思わず叫んだミノルだったが、武田に
「静かにせんか!」
と怒られてしまい、ミノルはしょげた。
「美知流ちゃん…だったわよね?立ち話もなんだから、こっちにどうぞ。」
順子がそう言って美知流をソファに座らせると、本城がその向かい側に腰を下ろした。
「さてと。なぁ、美知流?」
「はい?」
「ちょっと気になったんだけど、ここに電話してきた時なんで俺を指名したんだぁ?そのくせ、会った時に言った『あなたが』って、俺を知ってて電話してきたんじゃないのか?」
本城が不思議そうに訊いた。
「ウチ、本城さんのこと知ってましたよ?…って言うても、名前だけなんですけどね。知り合いに刑事やってる人がおって、その人が『代官署の本城って刑事はすごい奴らしい。』って言うてたから。一度会ってみたいなぁと思ってたんですよ。字は違うけど同じホンジョウやし。」
美知流は答えるとにっこりと笑った。
「へぇ~。俺ってそんなに有名?美知流のうちってどこ?話し方からすると、大阪?」
「いえ、その隣の兵庫なんです。その刑事さんは出張で何度か東京に来てるらしくて、その時に本城さんの噂聞いたみたいですよ?」
最初のコメントを投稿しよう!