一枚の写真

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本城達が事件が起きた会社に着くと、先に現場に来て受付にいた順子が駆け寄ってきた。 「順子さん、聞いてくださいよ。本城さんが…」 「そんなことより事件だ。順子、状況は?」 ミノルが説明しようとしたのを本城が阻止し、仕事モードに切り替えた。  被害者はこの会社の経理部に勤務していた竹山 玲子22歳。応接室で頭を鈍器のようなもので殴られて死亡していた。鑑識の結果が出なければ断定はできないが、遺体のそばにひびの入った壷があり、血痕がついていたことからおそらくその壷が凶器だと思われる。 順子が現場である応接室へと案内しながら、一通り説明した。 応接室に着くと入口でシゲが第一発見者である同じ部の高井優樹に状況を聞いているところだった。 「あ、本城さん。こちら第一発見者の高井さんです。今日の2時頃に被害者の竹山さんを訪ねて客人が来てたようです。客人は30分位で帰ったそうなんですが、そのあといつまで経っても竹山さんが戻らないので、同じ部の人に頼まれて高井さんが見に来たところ発見したそうです。」 シゲが今聞いたことを本城達に伝えた。 「客人…?あなたは、その『客人』について何かご存知ないですか?」 本城が高井に訊く。 「竹山さんの婚約者の妹さんだとかって言ってました。私がこちらに案内したんですが中高生ぐらいの関西弁なまりのある子でしたよ。」 「中高生ぐらいの関西弁なまり…?まさか…な。」 高井の言葉を聞き、本城が苦笑いを浮かべる。 「何か?」 「あ~いえ、こちらのことです。」 本城はそう言って、現場の状況を確認するために部屋の中へと入った。 そして現場の状況をほぼ確認できた頃、本城の背後から聞き覚えのある声が聞こえた。 「本城さ~ん!ちょっとぶり♪」 本城が声の方へ振り返ると、そこにはタクと一緒に美知流が立っていた。 「美知流!?なんだぁ?その『ちょっとぶり』って?」 「『久しぶり』ってほどでもないから…ちょっとぶり。です。」 「本城さん、もうびっくりしましたよ。被害者の婚約者の妹ってのを調べて家に行ってみたら、ドアの前で美知流ちゃんにバッタリ。名前に聞き覚えあるなとは思ったんですが、まさかこの美知流ちゃんだったとは…。」
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