終業式~プロローグ~

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「せっかくの夏休みやし、みんなでプール行こうや!」   お調子者の尼波が教室のド真ん中で叫ぶと、あちこちから賛成の声が上がった。 終業式が終わってテンションが高いせいか、やたらと声が大きい。 隣の大声を無視して帰る準備をしていると、尼波がニヤニヤしながら僕の肩に手を置いた。   「獅子国も…行くやんな?」   嗚呼…悪魔の囁きが聞こえる。 僕からすれば、遠まわしにした地獄へのお誘いだ。 口を開かない僕に悪魔からの甘い囁きが続く。   「プールと言えば水着のギャルが見放題!」   男子から大歓声が上がる。 まるでコンサートのようだ。 悪魔は僕達の会話は聞こえなくなったのをいいことに、すかさず耳元で囁いた。   「子供の付き添いでかっこいいオヤジさんが…」   「行く!」   教室から再び歓声が上がった。 …まんまと乗せられた。
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