ミネルバの梟

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 恭壱朗は黙り込んで座ったままだったが、 「久司さん!」 と、大声で久司を引き止めるかの様に言った。  久司が立ち止まった。  恭壱朗はすぐさま椅子から立ち上がり、久司に詰め寄ると、 「我が社の『ミネルバの梟』、呼び戻す事は出来ないのでしょうか?」 と尋ねた。 「分からない。君がその気ならそれこそ君次第だ。……ただ、連れ戻す事が出来なかったとしても、別の梟を連れてくるという手が無い訳ではない。」  久司はそう答えた。 「なあ餘部君、摂西神社の御神体の箱の落書きの事、実物を見たから知っているよな?」  磯原が恭壱朗に尋ねた。 「『十八人目の主に』と書かれていた、あれですか。」  恭壱朗が答えた。 「そうだ。芳埜(よしの)さんはあの落書きは戦前、恐らく昭和の初め頃に書かれたものではないかと言っていたが、今の私にはあれが予言じみていたように思えてならん。」  磯原は不安そうに恭壱朗に言った。 「会長、まさか私がとでも!?」
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