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磯原と久司が社長室から去り、蓮子が見送りの為に二人に同行したのと入れ代わるかの様に、今度は二人の男が恭壱朗の元に現れた。
一人は恭壱朗同様白髪混じりの七三分けの髪型をして、縁無し眼鏡をかけた、何の変哲もないサラリーマンの様な男である。
もう一人は、有りったけの横髪で禿げた頭を隠し、黒い細縁眼鏡をかけた、まるで絵に書いたような中年太りの男で、その体格のせいかスーツの前ボタンを全て開けていた。
「社長、どのようなご用件でしょうか?」
七三分けの男が恭壱朗に尋ねた。
「昼田(ひるた)さん、私が明日フューチャーロードの佐丹代表と会う件はご存知ですね。」
恭壱朗は七三分けの男――摂西の副社長である昼田(ひるた)一弘(かずひろ)に確認する様に言った。
「勿論存じております。確か枝梨専務と綱島専務もご同行されるのでしたね。」
昼田が答えた。
「その通り。そこで頼みがある。昼田さんだけでなく坂元(さかもと)さんにもお願いしたかったので、彼にも来てもらった。」
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