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「ええ。」
彼女はそう答えると、ため息をついた。
それから間もなく、二人のスーツ姿の老人が社長室に現れた。
彼らの姿を見るや否や、恭壱朗と蓮子は彼らに深々とお辞儀をした。
一人はボサボサの白髪頭に眼鏡をかけ、見た目七十代か八十代と言った所だが、その割にまだ腰は曲がらず杖すらついていない。しかし転ぶ事を恐れているのか注意深く歩いていた。
もう一人は少なくなった白髪を七三分けにした老人だが、隣の老人と違い足取りはしっかりとしている。
恭壱朗は、すぐさま二人の老人を応接室に案内した。蓮子もその後をついて行った。
「磯原(いそはら)会長、久司(くし)相談役、申し訳ありません。」
恭壱朗は二人の老人にそう言って深々と頭を下げた。
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