ミネルバの梟

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 この二人は、かつて摂西電気鉄道の社長職だった者である。  七三分けの白髪の老人は磯原(いそはら)昌良(まさよし)。摂西電気鉄道の会長にして、摂西にとっての主要な副業で摂西の象徴とも見られているプロ野球チーム『摂西ティーガース』のオーナーである。  そして彼の横には、ボザボサの白髪頭の老人――かつての会長であり、長らく摂西ティーガースのオーナーを勤めていた久司(くし)隼次(はやつぐ)が座っていた。 「餘部君、謝って始まる話でもないだろう。とりあえず座りなさい。」  磯原が恭壱朗にそう言うと、恭壱朗は椅子に深く腰掛けた。蓮子も彼の隣に座った。 「さて餘部君、これからどうするつもりだ?」  磯原は恭壱朗に尋ねた。 「私としましては、ここは一度、フューチャーロード・アセットマネジメント側の意見を聞くべきではないかと考えています。」  恭壱朗が磯原に答えた。  それを聞いた蓮子が思わず不安げな顔をして、
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