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※黒田目線
あぁもう暗くなってるやん。
森ちゃんちょっとで終わる言うてたくせに話長いねん…。
俺は職員室の廊下を曲がるところで誰かにぶつかりそうになって立ち止まった。
「あっ…と,すんません。」
その人はふっと俺の方に振り返った。
「あれ…菜実やんか。
何でこんなとこ,つっ立ってん?」
「………ろだー…。」
振り返ったその顔は今にも泣きそうだった。
「……どしたん…?」
俺が思わずそう聞くと何かがぷつんと切れたように菜実の目から急にぽろぽろと涙がこぼれ出した。
「…っ!?」
俺は少しびっくりして菜実をただ見つめた。
「…ふ…え……っ…。」
菜実は俯いてただただ泣いている。
「……菜実…。」
俺はそんな菜実を見てられなかった。
一瞬記憶が抜け落ちたように無意識に体が動いて。
気付いたときには菜実の頭を俺の方に引き寄せていた。
でも引き寄せるだけで何故か抱き締めることは出来なかった。
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