混乱

9/29
前へ
/168ページ
次へ
菜実が家の中に入っていくのを見届け,またもと来た道を戻った。 「………。」 そういえば何があったんやろ…。 小渕にひどいこと言われたとか? それとも もしかして 振られた…とか……?  〈チャンスやんか…〉 ふとそんな声がどこからかした。 「…っ。」 何考えてんねん…俺。 もし菜実が小渕好きで,それで振られてたとしても そんな弱くなってるときに付け入るみたいな姑息なことしたない…。 <何きれいごと言うてんねん。 チャンスを棒にふる気か? 今優しくすれば,コロッと 落ちるかもしんないで?> もう一人の俺がにやりと囁く。 …っ……そんなんチャンスって言わん。 そんな形で菜実が隣におっても俺は嬉しない。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

147人が本棚に入れています
本棚に追加