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「えっと…前田菜実って言います。
父の仕事の都合で大阪に越してきました。
大阪のことまだよく...」
「なぁ、あの子結構かわいない?」
黒田は近くにいた生徒とコソコソ話していた。
「おい、黒田。うるさいで。
前田の自己紹介中や」
ちょうど先生が黒田の席の近くを通りかかり、小さな声で注意した。
「何で俺だけー?」
「でかくて目立つからや。笑」
「うわー、ひどいわぁ」
そう言って黒田はちゃんと前に向き直った。
「...なんでよろしくお願いします。」
パチパチパチパチ
「んじゃ前田の席は小渕の隣な」
先生は黒田の席の近くからまた教卓の方へ上った。
「えっと…小渕さんって…」
「あっ、悪い。
転校してきたばっかやもんな。
ほら、一番窓際で一番後ろの席でバカみたいに音楽聞いとるやつおるやろ?
あいつが小渕や」
菜実が先生の言うほうを見るとたしかに音楽を聞きながら目をつぶってリズムをとっている生徒がいたが、それより先にさっきまで先生がいたところの近くの席の生徒に目がいった。
その人は学校なのにグラサンをかけててどう見ても怖そう。
<え…あんなヤンキーみたいな人いるんだ…。
なんか怖いなぁ…>
菜実が自分の席まで行き、着席したのを見て先生は満足そうに授業を始めた。
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