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「何言ってるんだよ?小春はどっから見ても女の子じゃん」
すかさずグループの1人が言い返して来た。
それに続くように他の同級生も口を出し始めた。
「そうだよ、髪も長いじゃん!男は伸ばさないもん」
「それに私とか言わないぞ」
次々に反撃の言葉が続く。
「違うもん!!私は…僕は男だもん」
小春は自分の事を僕と呼ぶとランドセルから図工に使うハサミを取り出し、長い綺麗な髪を切り出した。
「おっ、おい!!止めろって」
流石にこれには同級生達も慌て始めた。
口々に謝罪の言葉や説得をしだした。
しかし小春は止める事無くその髪を短く切り揃えた。
「わかったでしょ、僕は男なんだから!髪も長くないもん。孝介君…、孝介とは男友達、君達とも男友達、何にもおかしくないでしょ?」
そう言うと小春はニコッと笑った。
小春のこの行動に誰もいじる事などしなかった。
いつの間にかみんなが笑っていた。
転校初日、小春は私から僕に変わったのだった。
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