Forcibly Soil

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「………暇だなぁ」 ぼんやりと空を教室の窓から眺める。机には食べ終わって蓋が閉まった空の弁当箱。 教室では何人かの女子が固まって話に花を咲かせ、いつも連んでいる男子達がおちゃらけて笑いあっている。 どこの学校でも見れるような日常的な風景がそこにあった。 「……なーに黄昏てんのよレイ」 と、ピシッといきなり誰かの右手によるデコピンが令の視界の外、こめかみを襲った。 いきなりの攻撃にちょっとジンと来た部分をさすりながら、令は迷惑そうな顔をして犯人を見る。 「……痛いよ、彩音」 「だって痛くしたもん」 そう言って笑っているのは神流 彩音(かんな あやね)。 同じく七組の15歳。 令の幼なじみにして腐れ縁。なにせ小学校に入ってから今までの9年間、ずっと一緒のクラスだったのだ。 「一人で何見てたの?」 「何も………あえて言うなら空」 「暇人だなぁ、レイは」 「……僕はリョウだって」 「はいはい、わかってるよ~だ」 適当に令の言葉の腰を折って、彩音は机の上に置いてあった彼の弁当箱を横のフックに掛かった彼の通学バッグに片付ける。 「そんな暇だったらさー、またオセロやろ!」 「もうやる気なんでしょ。人の机の上片付けてるし」 「良いでしょ、別に。反論はなーし!」 「………強引」 既にどこからか取り出したオセロセットを机に置いている彼女を見ながら令は溜め息をついた。
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