およそ時速10文字の男

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 男の職業は作家。 現在スランプ真っ直中。   ペンを走らせど文章に納得がいかず、書いた紙をくしゃくしゃに丸めて机の上のどこかしこに転がす。   そうするうちに次第に紙のごみが机上を支配するようになる。 すると作業をするスペースが漸次後退するようになってしまった。 資料を探そうものなら上に乗っているごみが雪崩を起こす。   そんな現場に男のやる気は次第に削がれていった。 そんな状態で良い文章が書くことができるわけがない。   だからまた紙をくしゃくしゃに丸めて捨てる。 悪循環。
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