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一.
ピッピッ、ピッピッ…
気持ちのいい爽やかな朝。雀が道路に落ちたエサをついばんでいた…
ピッピッ、ピッピッ、ピッピッ…
その時、勢い良く戸が開き、雀は驚いて一斉に飛び立った!
バサバサ、バサバサッ!
ピッピッ… ピッピッ…
少年は木戸を開けると、家の中に向かって叫んだ。
「父上、早く、早く」
「あはは…文台、急がせるな」
「私は嬉しいんです。父上と旅をすることが…」
「よしっ!待たせたな、文台。行こう」
「あなた、気をつけて行ってきて下さいね」
「おう!」
孫堅と父親は呉の国を回る旅に出た。父は呉の国の領土を息子の文台に、見せたいと思ったからだ。
孫堅は政務でいつもは忙しく働いている父と一緒に、旅をするのがただ嬉しかった…
「文台、山岳地帯の方から行こう」
「はいっ」
二人はしばらく黙々と歩いていた。父は息子を気づかい少し休むことにした。簡単な食事を出す店を見つけたのだ。
「文台、ここで少し休もう」
「はいっ!」
孫親子が店に入って行くと、店の奥から刃物を研ぐ音が聞こえてきた…
シュッ、シュッ、シュッ…
孫堅は不安そうに父を見上げて囁いた…「父上…」
父も胸騒ぎを感じたが、息子の肩を叩いて頷いた。
「大丈夫だ」
父は店の主を呼ぶため、大声を上げた…
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