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「こ、紅一さん…!?」
「紅ちゃん…」
紅ちゃんはもう一度低い声で清野マユを挑発した。
「だれが…だれのもの?」
「こ、紅一さん…私達付き合ってたでしょう?親にも紹介するって…」
「清野さんさ、そうやっていつも周りから固めてけば自分の思うがままになると思ってるの?」
「なっ…」
「あなたが前にも付きまとっていた経理の佐藤君が、自分には何一ついわないのに自分の彼女に嫌みを言って別れさせようとしたって。人のものを奪ってるのはどこのどなたかな?」
「…だって私と食事いったでしょ?!好きっていう目で見てたでしょう!?あなたも佐藤君も」
「俺はあなたのこと一度も好きだなんて言ってないよ。俺は別に好きな人がいるし。だからそろそろどっかいってくんないかなぁ?」
「な…お父様にいいますわ!」
「ざーんねん。俺、君の父親の会社ともう無関係だもの。」
涙目になった清野マユがひどく荒んだ顔を私と紅ちゃんに向けた。
「バイバイ、清野さん。もう俺らの前に来ないでね」
ひどく睨みをきかせて清野マユは逃げていった。
残されたのは二人。
「い、いつから…聞いてたの?」
私の顔が赤くなってるのが分かった。
もし始めから聞かれていたのなら…
「始めからだよ。」
「さ、叫んでたとこも?」
「蒼子は声でけえな。びっくりしたよ。」
びっくりしたのは…私の方です。
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