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近くにいるのが当たり前な人ほど、存在の大きさに気付きにくい。 旅立つ人、戻る人、それぞれの想いが交差する空港に蒼子が着いた。 目の前には司。 「…アメリカ…遠いなぁ」 先日、司は弁護士事務所の制度の一環にある留学に参加することに決めた。 「…2年かぁ。」 距離と期間を確認するたびに現実離れしていて実感がわかない。 「蒼子。行ってくるな。」 じっと蒼子を見つめる司。 その目には想いの強さが宿っていた。 「いってらっしゃい。帰ってくるの待ってるからね。手紙書いてよ。」 「おう」 そういうと司は蒼子の髪の毛をくしゃくしゃにした。 一連のやりとりを少し離れたとこから見ていた紅一だったが、司が彼のそばに駆け寄った。 「紅一。いいか。少しの間だけ蒼子を預けるだけだ。変な虫がよらないように。頼むぞ」 司は本気半分冗談半分に言った。 どんなに強く想っても通じない片思いだと分かっている。 「ああ、誰にも蒼子を触らせないから」 それを聞いた司がにっと笑い蒼子のもとに行き、彼女を見つめた。 そして抱き寄せて蒼子の額にキスをした。
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