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「行っちゃったね…」
取り残された蒼子が紅一に向けて言った。
「俺がいても寂しいの?」
「何言ってんのよ…それとこれとは話が別だよ。紅ちゃんってさ、意外とやきもちやきだよね?」
紅一は蒼子の頭をポンポンっ叩き、「さ、紅太が車で待ってるから帰ろうか」
そういうと蒼子の手を掴み、歩き始めた。
「紅ちゃん。私にとって司は、おにぎりの海苔だとしたら、紅ちゃんは私にとっておにぎりの具だからね」
「全く意味わかんないぞ」
「おにぎりに海苔がないと包みがなくて不安定なだけだけど、具がなかったら中身がないってことじゃん!あなたがいないと空っぽなおにぎりなんです。私は」
紅一はぴたっと足を止めて、まじまじと蒼子を見た。
そして抱き寄せてキスをした。
「ちょっ…紅ちゃん!!!周りの人が見てる!」
「蒼子。大好きだよ。俺が絶対守ってやるからな」
「紅ちゃん…」
「さ、続きはベッドの中でだ。行くぞ」
「何言ってんの!!!」
バシ!!!!
大きなつっこみとは裏腹に2人は繋いだ手を離さないように強く手を握りあいながら空港の出口へと向かった。
寄り添うように
ゆっくりと。
―FIN―
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