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世の中はわからないことばかりだ。
例えばテストの問題。
特に数学とか呪文に見えてくる。
例えば政治について。
政治家が何を考えてるかさっぱりだ。
まあ、そういうのも含めて世の中わからないことだらけ。
でもこれは俺の中では1番の謎だった。
そしてわかった時のショックは凄かった。
まさか親友が声優だったとは……しかも萌えを売りにしているいわゆるアキバ系声優だったなんて
──その親友との出会いは高校の入学式だった……
「やあ、初めまして。僕、三浦椋(ミウラリョウ)って言うんだ。よろしくね」
子供のように小さく、女の子のような声で話しかけてきた親友に、
「お、おう。俺は、沢渡朔(サワタリハジメ)。こっちこそよろしくな」
慣れない環境に震えた声で自己紹介をしてしまった。
そんな俺に、「これで僕たちお友達だね」と無邪気に笑いながら握手を求めてきた。
握手を交わし、まだ慣れない俺に、
「朔くんは背、高いね。どのくらいあるの?」
「中3の時は181くらいだった。今はどうか……」
「うわぁ凄いね。何を食べたらそんなに成長するの?」
どんどん話題を振ってきた。
いきなりの展開に驚きを隠せなかったが、無邪気な笑顔に癒されながらの会話は居心地の良いものだった。
俺は椋とすぐに親友になれた。
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